新モン州党(NMSP)が2月25日に政府と停戦合意したことについて、ナイホンサー書記長は、「停戦協定は暫定的なものであり、和平が実現したわけでは ない」と述べ、投資を急ぐ国際社会にミャンマーの民族問題の重要性に注意を喚起した。(写真=3月1日、サンクラブリにて、赤津陽治撮影)
NMSPは1995年より軍事政権との間で停戦協定を結んでいたが、2010年9月以降、停戦協定は無効になっていた。
前回の停戦期間中、民族の権利実現を目指し、憲法案を話し合う国民会議に参加。しかし、軍事政権主導で憲法案起草が進められ、少数民族が長年求めてきた「各民族州の平等な権利を認める連邦制」とはかけ離れた内容の憲法が制定された。
さらに、軍事政権側は、停戦組織に対し、国境警備隊として国軍の指揮下に入るか、武装解除を要求。停戦していたカチン族やシャン族武装勢力は、これを拒否し、武力衝突に発展した。
しかし、昨年8月、テインセイン大統領が、少数民族武装勢力に対話を呼びかけたことで、状況は大きく変化した。
アウンミン鉄道大臣を中心とする政府側代表は、各少数民族武装勢力と精力的に会談。停戦していなかったシャン州南部軍やカレン民族同盟と停戦合意にこぎつけた。
NMSPは当初、前回の停戦の経験から、民族の権利平等を実現する政治的解決を伴わない停戦には消極的だった。しかし、今回は、民族問題解決に向けた協議を、停戦したすべての少数民族武装勢力と連邦政府との間で年内に実施すると政府側が約束したことで、停戦に合意した。
NMSPのナイホンサー書記長は、「今は暫定的な停戦協定にすぎず、和平が実現したわけではない。国際社会は、投資を急ぐよりも、私たちの国の民族問題解 決が進展するように後押ししてほしい。内戦が再燃すれば、投資は無に帰してしまう。民族の平等な権利を認め、真の連邦制が実現しない限り、私たちの国に平 和は訪れない」と、ミャンマーの民族問題解決の重要性を強調した。
【サンクラブリ(タイ西部)=赤津陽治】