ミャンマーの村に井戸贈る 広島・福山の生徒が募金活動
きれいな飲み水が手に入らず、病気にかかりやすいミャンマーの村の子どもたちを助けようと、広島県福山市の私立盈進中学高校の生徒が募金活動で集め た10万円で、村に井戸が完成した。協力したNPOから現地の人々が水をくむ写真が届き、1日の卒業式で感謝状とともに飾られる。
井戸ができたのは、最大都市ヤンゴン近郊のジオーアイ村。ミャンマーで井戸の普及に取り組むNPO法人「アジアチャイルドサポート」(沖縄県、池間哲郎代表理事)によると、きれいな水源が少なく、濁った川の水を飲み水に使っている地域が多いという。
体の弱い子どもは病気にかかりやすく、死亡するケースがある。井戸を掘ってきれいな水を飲めるようになったため、死亡率が下がった地域もあるという。
池間代表は2008年10月、岡山県で講演し、飲み水に困っているアジアの子どもたちの現状を報告。聴きに行った同校の生徒たちが関心を持った。
生徒たちは自分たちにどのような支援ができるか校内でアンケートし、井戸の建設費を募金することを決定。生徒会やヒューマンライツ部の部員ら数十人が中心となり、09年9月から校内の食堂に募金箱を置いたり、学校祭で生徒や住民から募金したりしてきた。
1年ほどで目標の10万円が集まり、NPOを通じて送金。現地業者に井戸を掘ってもらった。昨年12月に深さ約70メートルの井戸が完成。井戸の隣の貯水タンクに「盈進中学高等学校」と日本語やミャンマー語で書かれたプレートが張られた。
井戸の完成を喜び、かめに水をくむ村の住民や子どもたちを撮った写真と感謝状がNPOから同校に届き、2月から校内に展示。保護者らにも見てもらおうと、1日の卒業式の会場にも飾られる。
ヒューマンライツ部・前副部長で同高校3年の赤木郁江(ふみえ)さん(18)は「1年でこれだけのお金が集まるとは思わなかった。後輩たちにも活動を続 けてもらい、もっとたくさん井戸を造ってほしい」。元部員で同学年の三島崇義(たかよし)さん(18)は「卒業前に完成した井戸の写真を見られてよかっ た。いつか現地に行き、地元の人たちと交流してみたい」と話した。(吉田博行)