きょう18日に安倍首相はスーチーさんと会うらしい。その報道が流れる前に書いておきたい。アウンサンスーチーさ んと日本政府との関係については、私は何度も書いてきた。ミャンマーの軍政と闘ってきたスーチーさんの不屈の精神はすばらしいと。それにも関わらず外務省 は一貫してそのスーチーさんに冷淡であり軍事政権を容認して来たと。
今でもミャンマーの軍事政権と野党党首のスーチーさんの政治的対立が続いているのに日 本はミャンマー軍事政権に顔を向けてスーチーさんを全面的に支援することはないと。その好例が1月の麻生副首相のミャンマー訪問だ。スーチーさんと会おう ともしなかった。
そんな日本政府に迎合して日本のメディアも、毎日新聞をのぞいてはスーチーさんには冷淡だった。軍政と妥協したり、少数民族問題に熱心で ない事を理由に、スーチーさんの輝きは失せた、現実的になったなどと批判さえもする。ところがスーチーさんの訪日が実現するやスーチーさんを歓迎する記事 で一色になった。私が笑ってしまったのはきょう4月18日の読売新聞の次のくだりだ。「・・・安倍首相が、民主主義など共通の『価値観』を持つ国との関係 を重視していることも、歓待の大きな理由だ。軍政から民主化への脱皮をしたミャンマーへの支援は『安倍首相の価値観外交の戦略にぴったり、はまる』(外務 省幹部)から・・」
こんな大嘘をつく外務省幹部とはどこの誰だ。そんな大嘘をそのまま垂れ流す読売新聞は読むに値しない。スーチー さんが民主主義の体現者であることはそのとおりだ。しかし安倍政権のどこがそのスーチーさんと民主主義の価値観を共有しているというのか。そもそも安倍首 相の価値観外交の本質は対中包囲網ではなかったのか。
ミャンマー軍事政権に日本が近づいたのはミャンマーを中国から離反させようとしたからではなかった か。そのミャンマー軍事政権のテイン・セイン大統領は習近平中国と会談し一段の相互協力拡大に合意した(4月18日日経)
外交評論家