ミャンマー政府の恩赦で13日釈放された、88年の民主化運動を主導した学生グループ「88年学生世代」の中心人物のミンコーナイン氏(49)が17日、ヤンゴン市内の自宅で毎日新聞現地通信員と単独会見し、アウンサンスーチーさん率いる「国民民主連盟」と共闘して政権に憲法改正など「真の民主化」を迫っていく方針を明言した。一方で「国会の外でもやるべき仕事がある」と述べ、4月1日の国会補選への立候補には慎重な姿勢を示した。
氏は「我々と国民民主連盟は同じ目的のために戦ってきた。国内外で人気が高いスーチーさんの役割は重要だ」と述べた。
同じく民主化を目指しながらも、軍による弾圧覚悟で街頭デモを主導した88年世代と、非暴力を強調するスーチーさん側との間には、方針を巡る食い違いがあると見られてきた。支持層も微妙に異なるが、双方が全面協力すれば、政府に対抗する民主化勢力の本流として大きな支持を集めるのは確実だ。
国会補選へのスーチーさんの立候補については「民主化運動の一つの形」としながらも、「国会の内外で協力していくことも重要だ」と強調。さらに「政府は民主化運動を恐れる必要はない。政府が民主化を進めるなら、我々は政府を支持する」と語った。
国会議員の4分の1を軍推薦の軍人議員が占める現憲法については、「真の民主化が実現すれば、そのような規定は削除される。努力していかなければならない」と述べた。
ミンコーナイン氏らは88年の全国規模の民主化運動でネウィン体制崩壊のきっかけを作ったが、軍の武力鎮圧で多数の死者や拘束者が出た。ミンコーナイン氏は89年から15年間服役。釈放後の07年に反政府デモを主導したとして再び逮捕され禁錮65年の刑を受けた。