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3・11から1年 天皇陛下「国民とともに」ご体現


3月11日(日)20時55分配信
天皇陛下の式典出席は、心臓の冠動脈バイパス手術の直後で、ご体調が悪化すれば取りやめるという「ぎりぎりの判断」(宮内庁関係者)のなかで行われた。東日本大震災をはじめ、地震や豪雨など多くの自然災害に見舞われてきた日本にあって、この日の式典へのご出席は、陛下が長年にわたって皇后さまと築かれてきた「国民とともにある皇室」の姿を体現したものだといえる。

 「津波来(こ)し時の岸辺は如何なりしと見下ろす海は青く静まる」

 1月の歌会始の儀で陛下は、昨年5月6日に大津波で被害を受けた岩手県を訪れた際に、ヘリコプターから見た釜石から宮古までの様子を詠まれた。

 両陛下のご訪問は、震災直後の昨年3月下旬から7週連続で行われた。両陛下は宮城、岩手、福島3県を含む7都県の避難所・被災地を相次いでご訪問、警備面で負担をかけないよう移動には自衛隊ヘリを活用したほか、日程はすべて日帰りという強行軍だった。

 被災地を訪れるだけでなく、首都圏を中心に計画停電が行われた翌日の3月15日からは、停電対象外となっていたお住まいの皇居・御所でも自ら明かり、暖房などの電力を1回2時間にわたって使用しない「自主停電」を始め、4月30日まで47日間連続で実施された。陛下は「ノルマがないからこそ、自分で厳しく律さないといけない」と話されたという。

 余震や原発事故で動揺が広がる3月16日にはビデオを通じて「被災者のこれからの苦難の日々を、私たち皆が、さまざまな形で少しでも分かち合っていくことが大切であろうと思います」と国民に向けてお言葉を述べられた。同26日からは、那須御用邸(栃木県那須町)の職員宿泊所の入浴施設を被災者に開放するなど、細かい配慮も見せられた。

 陛下が即位後、自然災害の被災者を初めて見舞われたのは平成3年の雲仙・普賢岳(長崎)の噴火災害。

 避難所を訪れた陛下は、皇后さまと一緒に、床にひざをついて被災者一人一人に、ていねいに励ましの声を掛けて回られた。こうした国民と目線を合わせる平成の皇室を象徴するご活動は、平成7年の阪神・淡路大震災やその後の新潟県中越沖地震などの被災地ご訪問の際にも、厳しい状況に置かれた被災者たちに大きな力を与えてこられた。

 11日の追悼式で陛下は、「震災により失われた多くの人々に深く哀悼の意を表します」とした上で、「この大震災の記憶を忘れることなく、子孫に伝え、防災に対する心掛けを育み、安全な国土を目指して進んでいくことが大切と思います」と述べ、未来へ向かって歩むことの大切さも指摘された。

 陛下は式典の後、3月いっぱいは静養されるが、今年5月には、学術団体の国際会議への出席に合わせ、宮城県の被災地訪問が検討されている。両陛下がつらい境遇に置かれる被災地に寄せられる思いは今後も変わることはない。
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