3月26日(月)11時50分配信
【ソウル西脇真一、澤田克己】第2回核安全保障サミット出席のため韓国訪問中のオバマ米大統領は26日午前、ソウル市内の韓国外国語大で演説した。09年4月にチェコの首都プラハでの演説で掲げた「核兵器のない世界」の実現に向け、米国が核兵器をさらに削減する用意があると表明、国際社会に核不拡散への取り組みを呼びかけた。大統領は米露の戦術核削減に向けた交渉をロシアのプーチン次期大統領に提案すると明らかにした。
オバマ大統領は「核テロは、世界の安全保障における最も深刻な脅威の一つだ」と強調した。「核兵器を使用した唯一の国の大統領として、核安全保障をめぐり比類ない責任と道徳的義務がある」と核軍縮を推進する姿勢を示した。
核開発を進め、長距離弾道ミサイル発射と同一技術を使う「衛星」の打ち上げを予告している北朝鮮に関しては「我々は敵対する意思はない」と述べる一方、栄養補助食品支援の取りやめなどを念頭に挑発行為に対する見返りはないと警告した。イラン核問題は欧米など6カ国とイランの協議を通じて外交的な解決を早急に模索することが重要だと強調した。
日本については「日本政府が核テロ対策強化に向けた拠点づくりを通じ、核安全保障に貢献している」と評価した。核兵器なき世界の実現に向けた中国の積極的な貢献を求めた。
一方、韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は26日午前、ソウルの青瓦台(大統領府)で、訪韓中の胡錦濤中国国家主席と会談した。李大統領は「衛星」打ち上げの中止を阻止するため、北朝鮮に対する働きかけの強化を胡主席に求めたとみられる。
歴史的にも経済的にも北朝鮮とつながりが深く、影響力を持つ中国の役割に関係国は期待を寄せている。ただ、中国外務省は「各国は冷静さを保ち、事態がさらに複雑化するのを避ける行動をとってほしい」と強調している。
このため、中国は一定の理解を示しつつも、日米などと連携し北朝鮮へのけん制を強める韓国に対し、抑制的な行動をとるよう求めたとみられる。