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ミャンマー投資に熱視線 日本勢 乗り遅れ懸念 豊富な資源、安価な労働力 中印韓、すでに激戦

豊富な資源、安価な労働力で各国企業を引きつけるミャンマーに日本勢も“参戦”を始めた。民政移管後の改革に伴い日本政府は経済支援策を打ち出したが、日本企業が本格参入の足掛かりとするにはいまひとつ。欧米諸国も関係改善に動きだす中、激化する競争に乗り遅れる恐れも出てきた。

 「両国にとって不幸な時代が続いたが、次のステップに進む時だ」。13日、ミャンマーの首都ネピドーで開催された経済産業対話で、枝野幸男経産相は呼び掛けた。

 枝野氏はインフラ整備やエネルギー開発への投資に伴うリスクを軽減する貿易保険の再開などを表明。ミャンマー軍事政権下での民主化停滞を理由に停止した経済協力を大幅に復活させた。

 訪問には三井物産、東芝、シャープなど主要約20社の役員が同行。支援再開をミャンマーへの本格参入につなげたい日本企業の視線は熱い。

 1日付でネピドーに出張所を構えた丸紅幹部は「軍政下で日本企業が撤退した間に多くの権益が中国に移った。今度は日本が取り戻す番だ」と再出発を強調した。

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 しかし、日本政府が打ち出した「包括的支援」の中身は、両国関係の「新時代」到来というには程遠い。インフラ整備の協力案件の多くは、日本が1970年代に拠出した政府開発援助(ODA)で建設した発電所や工場の改修だ。

 日本企業は港湾、鉄道建設など新規大型案件への参画を熱望しているが、80年代後半に凍結した、円借款を伴うODAの本格再開がリスク担保として不可欠。元本だけでも2700億円が未返済の延滞債務が障害となっている。

 日本の財務省などは「大事なのは返済の意思表示だ」として「ベトナム方式」による解決を提示。対日債務を返済した直後に新たな円借款を再開するという綱渡りの方式で、ベトナムの財政には実質的には影響を与えなかった。

 枝野氏は13日にネピドーの大統領府で行われた非公式会談の席上、債務問題を取り上げた。だが、テイン・セイン大統領は「返済は困難だ」と返答し「日本の投資は少ない。全体で10位くらいではないか」と、逆に出遅れを指摘してみせた。

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 「債務問題は大統領が来日する春までに決着をつけたい。欧米企業の進出が始まってからでは遅い」(経産省幹部)と日本側は焦りを募らせる。

 枝野氏らのミャンマー滞在中にも、政治犯の大規模釈放を受け米国がミャンマーへの大使派遣を発表するなど欧米諸国が相次いで関係正常化の意思を表明。4月までに各国の経済制裁が緩和される見通しだ。

 制裁緩和となれば、天然ガスや石油などの権益獲得を虎視眈々(たんたん)と狙う欧米企業が押し寄せるのは確実。すでに中国、韓国、インドが資源やインフラ開発をめぐりしのぎを削っている。日立製作所の川村隆会長は「実績はあるが、日本は価格や技術面でも競争にさらされるだろう」と語る。激戦は必至だ。
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