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<ミャンマー>「解放されると確信していた」1月恩赦で解放のシャン族政治家

 3月23日(金)18時4分配信
9年ぶりの再会だった。彼とはもう会えないかもしれないと思っていた。1990年の総選挙で国民民主連盟(NLD)に次ぐ議席を獲得したシャン諸民族民主連盟(SNLD)書記のサイニュンルイン氏(60歳)。2005年に禁錮85年の判決を受け、地方のカレー刑務所に投獄されていた。しかし、ことし1月13日、テインセイン大統領の恩赦で解放。ヤンゴンの自宅で投獄中の経験や今後の活動について話を聞いた。

2005年2月9日、ヤンゴンの自宅でミャンマー警察特別情報部(SB)によって拘束された。同年11月2日に非合法団体との接触など5つの罪状で禁錮85年の判決を受ける。ザガイン管区のカレー刑務所に収監された。

「家族は2カ月ごとに面会に来てくれた。1回の面会時間は、15分から1時間程度。ヤンゴンから来た家族は一泊し、2日間面会した。部屋は独房で2.5m×3.8m程度の広さだった。おもに読書をして過ごした。支持者が、新聞や雑誌などを定期的送ってくれ、外の動きを知ることができた。看守にお金を渡して、ラジオで報道されるニュースを又聞きした。朝6時から夕方18時までは、独房から外に出ることができ、運動をしていた」

SNLDは、少数民族政党の中核的存在だった。NLDとも連携を持ち、1990年総選挙結果に基づく国会招集を要求して、国会代表者委員会(CRPP)にも参加していた。2003年のアウンサンスーチー女史軟禁後に発表されたキンニュン元首相によるロードマップにも参加しなかった。2005年、シャン州軍などの非合法組織との連携などから国家反逆の罪に問われて、SNLDは党首ら指導者が禁錮79年から106年の長期刑に処された。刑が終わる前に、寿命が尽きるはずだった。

しかし、サイニュンルイン氏は、「何も法は犯していない。政治罪による投獄であったから、明日にも解放される可能性があると思っていた」と語った。「こんな政府は長く続かない。世界中が政治囚の解放を要求してくれ、解放されると信じていた」。しかし、実際の解放までには7年かかった。

解放された今の彼の姿は、昔と変わらない。ただ、視力が落ち、歯がなくなった。刑務所内で与えられる米飯には、石が混ざっているためだという。

彼がいたカレー刑務所には、12人の政治囚がいた。そのうち10人が解放された。2007年僧侶デモの指導者ガンビラ師も含まれる。しかし、残りの2人のヤンシュエ氏(NLD)とエーアウン氏(88世代学生)は、解放されないままでいる。NLDが政府側に提出した政治囚のリストから漏れていたためだ。ミャンマー全体で300人から400人の政治囚がまだ残っているという。

現在、SNLDは合法政党として登録することを決め、登録作業を進めている。ほかの少数民族政党も、政党登録する方向で動いている。ミャンマー政府は、民族問題について話し合う大きな会議を開催することを公言しており、そのとき合法的政党である必要があると判断した。

「今は、民族的平等については、ゼロにも至っていないが、テインセイン大統領やアウンサンスーチー女史が、『ビルマ族もひとつの民族だ』という発言をするようになってきたのは、ひとつの変化だ。しかし、軍の中には民族的平等を認める連邦制を許さない強硬派がいるため、先のことは分からない」と、ミャンマーの民族問題解決にはいまだ時間がかかる見通しを語った。【ヤンゴン=赤津陽治】
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