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<ミャンマー>1日補選スーチー氏「民主化へ重要な一歩」

3月30日(金)20時34分配信
アウンサンスーチーさん=ヤンゴンの自宅で2012年3月30日、杉尾直哉撮影

 【ヤンゴン杉尾直哉】ミャンマー議会補欠選挙を4月1日に控え、最大野党の国民民主連盟(NLD)を率いるアウンサンスーチー氏(66)は30日、ヤンゴンの自宅で記者会見した。選挙中の政権与党による「多くの不法行為」を批判しつつも、今回の選挙を「民主化へ向けた重要な一歩だ」と述べ、選挙に参加し国政の一翼を担うことの意義を強調した。

 スーチー氏は、国民民主連盟の候補者を狙った暴力事件が相次いでいると指摘。女性支持者らが負傷するなどしたことから「自由で公正な選挙とはいえない」と批判した。

 だが、「選挙への参加は人々の希望だ」と述べ、選挙戦についての評価は選挙が終わるまで留保し、最後まで戦う考えを示した。

 米欧は、選挙が「自由で公平に行われるか」を対ミャンマー経済制裁解除の前提条件としており、制裁の行方はスーチー氏の評価に大きく左右される。

 国民民主連盟は1990年の総選挙で圧勝したが、当時の軍政により国政参加から排除された。今回の補選で国民民主連盟などの民主派勢力が勝利しても、軍・政権を支える与党が大多数という構図は変わらない。

 だが、スーチー氏は会見で「国民は(90年総選挙の)当時より今回の方が熱狂している」と述べ、民主化の進展に向けた国民の期待の大きさを示した。

 さらに「たとえ声が小さくとも、世界中に響かせることができる。15年の次の総選挙まで(のミャンマー情勢)に大きな影響を及ぼすことができる」とも語り、補選勝利の意味をアピールした。

 テインセイン政権による最近の民主化路線について、スーチー氏は「確かに改革を進めているが、(軍を含む)周囲でどれほど支持を得ているのかは分からない」と語り、改革の揺り戻しが起きる可能性に懸念を示した。

 スーチー氏自身はヤンゴン管区コームー選挙区から下院に出馬し、初当選は確実視されている。国会議員の立場でテインセイン大統領の路線を後押しし、憲法改正などによる民主化を進める意向を示唆した格好だ。

 スーチー氏はまた、国家統合を図る上で最大の懸案とされる少数民族問題にも触れ、政府軍との戦闘が依然続く北部カチン州のカチン族など、少数民族との和解に向け尽力する決意も示した。

 スーチー氏は25日、体調不良のため地方遊説を中止していた。選挙キャンペーンを締めくくるこの日の会見には、数十人の内外の記者が参加。約1時間半、立ち通しで丁寧に答えたが、最後の数問はさすがに疲れた様子で、腰をかけて答えた。

 今回の補選は、国民民主連盟がボイコットした10年の前回総選挙後、空席となった上院(定数224)の6議席、下院(同440)の37議席、地方議会の2議席の計45議席が争われる。国民民主連盟は44人を擁立した。

 当初は48選挙区で実施される予定だったが、選管は今月23日、カチン州の3選挙区(いずれも下院)について「治安上の理由」を挙げて実施延期を発表した。これについてスーチー氏は「治安上の問題はない」と批判した。
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